前回に引き続き、AIタクシー®のことあれこれ。
ベテラン運転手さん達に感謝!!運行データも使われてます
AIタクシー®が用いるデータには、気象データや周辺施設のデータ[*1]など多様なデータがありますが、この中にはタクシーの運行データも含まれています。運行データとは主にタクシーの乗降場所や日時等ですね。東京では東京無線協同組合、名古屋ではつばめタクシーグループなどが運行データを提供し、AIタクシー®の運行を開始しているようですよ。サービス概要を見てみると過去1年以上のタクシー運行データが必要のようです。このデータ、どうやって収集しているんでしょう?
運行データの収集について
AIタクシー®運行データについて調べてみると富士通テンのタクシー配車システムと富士通が提供する位置情報サービス基盤「SPATIOWL(スペーシオウル)」によって収集されたものだとわかりました。SPATIOWLはイベントやSNS等のリアルタイム情報、車両に搭載されたプローブ、その他車両の各種センサーから得られる大量のデータをリアルタイムに蓄積、処理しているすごいシステム!!
ちなみに、プローブとは、GPSによる車両位置やその他センサーで自動車の動きを感知し、発信された情報を元に交通量や車両の挙動、気候や路面の状況などの交通観測ができるんですって。例えば車速で渋滞を調べたり、ワイパーの速さで雨量がわかったり、タイヤのスリップ率の変化から路面の凍結情報がわかったり。タクシーやバスなどたくさんの車に取り付け、どこが渋滞しているかとか雨が降っているかとかわかっちゃうんですね。
もうこれだけで「ベテランのカン」でさえも太刀打ちできないような気がしてきますね(T_T)
内勤勤務時代のこぼれ話
私が勤務していた会社ではSPATIOWLなんてハイテクなシステムがありませんでした。関東の方は驚かれるようですが日報も手書きという有様。大阪ではまだまだ多いんですよ。でも、ほとんどの会社が乗降時の日時とGPSからの位置情報は記録されているんですよね。
内勤になりたての頃、事務処理も無線もまったくない暇な時に、この運行データをひっぱり出してきて、デジタルマップにピンを刺すという地味な暇つぶしをしていた事があります。私が養成をうけた会社でも若手の内勤さんがそうやって乗降データを可視化させ、養成新人さんが効率よく回れるよう流し方マニュアルを作っていた事を聞いていたので真似です。あの大手でも、この時代にまだそんな事やってたんですよね(笑)
その運行データからは、どちらの車線にお客様がいたのかは記録されていなかったので、降車地と距離を見ながら推測してみたり、当日の天気や気温、イベント等をネット等から調べてデータベース化させていきました。そうやって作ったデータから頻出パターンのマイニングを行うのはなかなか面白かったです。データが多ければ多いほど良いのは確かなのですが、しかし年数を乗算すれば良いというわけでもないのが難しいところ。街は移りゆくもので、建物一つ、バスの運行時間一つ変わっただけでも流れも変わるのが興味深かったです。私が勤務していた地域が田舎だったから顕著に現れやすかったのかもしれませんが……。
しかし、これらの運行データをがんばって手作業で入力したところで、得られる情報は限られてるってのが正直なところ。
まとめ
運行データはただの日報の丸写しじゃない。様々なデータの蓄積という事がわかっていただけたでしょうか?
次回はAIタクシー®は役に立つのか!?本編に入りたいと思います。
おまけ
悲しい事に大阪のタクシー会社の車両設備は大都市とは思えない程時代遅れです。SPATIOWLなんて使えない、ローテクな設備しかない!!という会社がほとんどだと思います。無線だってIP無線[*2]が増えてきたというのに、UHF/VHFがまだ主流。AIタクシー®の導入どころか運行情報のデータベース化も夢のまた夢かもしれませんね。かといって、こまめに日報を記録していても、情報量はしれていますし統計をとるにしてもデータが少なすぎる。
でもね、簡易的ではありますが、個人レベルで運行データを記録し、また他の方のデータを参照、共有するサービスがあるんですよ!
iPadtaxi Navigatorは「タクドラによるタクドラのためのナビゲーションシステム」
タクシードライバーである開発者がドライバー自身のために作成したんです。詳しくはサイトをご覧ください。
このシステムはAIタクシー®ほどのデータは無論ありませんが、「この人は化物か!?」レベルの営収をあげてる乗務員さんのデータや登録している他社の乗務員のデータも覗き見れちゃいます。Webアプリケーションなので、利用するための端末を新たに買う必要はなく、GPSが搭載されたスマートフォンやタブレットなどとネットに接続できる回線があれば利用ができます。AIタクシー®が導入する資金力がない会社に勤務していても手軽に利用できますよ。お試しあれ♪
脚注
1. | ^ | POI(Point of Interest)。建物や店舗などの施設情報 |
2. | ^ | 携帯電話網や自営無線のデータ通信機能を使い、デジタルデータや音声をVoIP化して伝送する移動体通信サービス。従来の自営無線は複数の中継局を設置しなければ広い通信エリアを確保する事が難しかったが、IP無線は携帯電話網を使用するため、基地局の圏内ならどこでも通信が可能 |