ベントン先生のチョコボール(半井紅太郎/著)

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ベントン先生は、平成の「金八先生」だ

「ベントン先生のチョコボール」は、脱サラした主人公・半井紅太郎(なからいこうたろう)が、福島県双葉郡葛尾町に開いた学習塾「ベントン・スクール」の物語。主人公は、心身が疲れ切って企業の研究職を投げうちました。当初は、塾という考えはなく、ラーメン屋、豆腐屋、玩具屋、キノコ屋、鉢植えのレンタル業を検討していて、ついでという感じで塾業が追加。収入的に安定したサラリーマンから、次の仕事を決めずに自営業へ。しかも、開業のために、父親から200万円の資金援助を受けています。背水の陣をはった半井紅太郎は、大学時代にいつも通っていたお店の屋号「KITCHEN BENTON」から、「ベントン・スクール」と命名しました。
私は、主人公が毎日通い、いつしか、主人公だけのメニューが用意されるようになった定食屋「KITCHEN BENTON」の経営者である小山さん夫妻から、その屋号を頂くようになった件が好きです。

―「マスター! いつか私が会社を作ったらベントンの名前をください! いいっすか?」
大学院生の半井は、カウンター越しにお願いした。すると、マスターもママも快く承諾。
「どうぞ、どうぞ」
「偉くなってね、半井君」と、ママ。
「たくさん、おごってね、半井社長!」と、マスター。
「はい!約束します」恥ずかしそうに半井は返事をした。(P11)―

お世話になっている定食屋さんを如何に愛し、そして、義理堅く、その屋号を使いたいという気持ちが清々しいです。
この義理堅いメンタリーをもってして、愛すべき我が子ともいうべき塾生の教育へ心血を注いでいきます。しつけ、嘘、差別、いじめ、価値観、事実認識、目的意識、お金、命、生と死、宗教、性という人生のテーマを、小学六年生から高校受験までの塾生へ、熱くぶつけます。それに、ストレートに応える、時には、応えるには時間がかかる塾生もいます。この大人と子供の真剣勝負は、現代社会の中では、失われつつあります。それが故に、私は、
「ベントン先生は、平成の「金八先生」だ」と、言い切りたいです。
主人公は、自身が子どもの頃に、受けた母親の教えを塾生たちに語りかけます。例えば、今、世界中でヘイトスピーチという人種差別が、公共の場で平然と行われています。それを否定するエピソードを紹介したいと思います。
主人公が小三のとき、近くにパチンコ屋ができ、隣のクラスに転校生がやってきました。転校生は、朝鮮人です。主人公の友達は、それが故に、遊ばないといいます。しかし、その話を聞いた母親は、その心無い友達に対して怒り、よっちゃんの家に行き、よっちゃんをクリスマスに招待します。その帰り道、

―「朝鮮人とか日本人とか、どうでもいい。人間はみんな、同じ赤い血が流れているのが分がんねのがなぁ!」(P57)―

主人公も熱いが、母親も熱いです。
大人も子供も学ぶべき多い、主人公の自叙伝を読むと心が洗われます。是非、ご一読を。

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みわちん

miwachin.com管理人。大阪在住のパラレルワーカー。暇を見つけてはネタ探しでいろんなアルバイトを経験してます。現在は大阪にてタクシー運転手として奮闘中。