日はまた昇る(アーネスト・ヘミングウェイ/著, 高見 浩/訳

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ヘミングウェイが、惜しげもなく「青臭さ」を全開させた作品

「第一次世界大戦で精神的支柱を失った『ロスト・ジェネレーション』世代文学の金字塔」との評が多い作品ですね。

しかし、私は、スペインの太陽・闘牛・牛追い祭りを舞台装置とした、男の体臭を感じる青臭い青春小説として、作品を楽しみました。女性の立場から読むと苦手に感じる人もいるかもしれませんね。

後半のパンプローナの牛追い祭りでの色恋物語は、闘牛士・ペドロ・ロメロの技量に関する描写が醸し出す疾走感で読者の胸に飛び込んできます。生死の境界線を渡り歩くロメロは、新進気鋭で聴衆を魅了します。

そして、34歳の恋多き女性主人公・ブレットが、ストイックなロメロに惚れていく疾走感も小説のテンポを際ださせています。パンプローナでも、かつての恋人らと三角、四角関係のもつれで、周りを巻き込み、お祭り気分を台無しにしてしまう。そんな「じゃじゃ馬」の恋の行方は、読者の想像のはるかかなたへと逃げていきます。恋の逃避行の相手・ロメロは、未成年。危なくて仕方がない。

前半の牧歌的な雰囲気もいいですね。パリからスペイン・ブルゲーテに、男性主人公・ジェイクは、友人と釣りに出かけます。その道すがらのスペインの荒野を照りつける太陽は、曲者。

牧歌的であるが故に、この太陽が、後半の読者をひきつける事件性、出来事の導火線となっています。恋の行方は、太陽のように熱い…。

そして、ジェイクの、ブレッドへの想いを胸に秘めてた冷静さは、男性読者の共感を呼ぶでしょう。二人で、タクシーに乗り、マドリッドをドライブするクライマックスがとてもいいと思います。

運転手にドライブの場所を教え、ブレッドのわきにのりこむ。運転手が通りを走りだす。ぼくは深く後ろへもたれかかった。ブレッドがぴったり身をよせてくる。すわったまま、たがいにからだをよせ合う。(中略)
「ああ、ジェイク」ブレッドがいう、「二人でいっしょにいることができたら、どんなに楽しかっただろう」(中略)
「うん」ぼくが言う。「そう思うと、わるかないやね」

ドライを隠し切れない青臭さ…。

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みわちん

miwachin.com管理人。大阪在住のパラレルワーカー。暇を見つけてはネタ探しでいろんなアルバイトを経験してます。現在は大阪にてタクシー運転手として奮闘中。