それで寿命は何秒縮む? (半谷 輝己/著)

食品、治療、生活習慣のあらゆるリスクの定量化

現代は安心と安全が担保されないと暮らしてはいけないという人が多い。人は完全にリスクをゼロにしようとするが、それは多大なコストがかかる上に別のリスクを引き寄せる危険がある。そこで、本書の損失余命の考え方が登場します。

損失余命。それは該当行為によりどれくらい寿命が縮むか算出している指標。「タバコ一本あたり12分の寿命が縮む」といった話はよく聞きますよね?そう、あれです。この概念によりこれまで漠然としていたリスクを定量的に考えることができるようになります。

例えば、放射線について単位がニュースでよく使われるシーベルト。実感がわかず不安になりませんか?これを損失余命になおすと、福島県にすんでいる人は事故年度で約1日の損失余命になる。これが多いか少ないかは意見が別れるかもしれない。しかし、喫煙や肥満などに比べると圧倒的に少ない損失なんだそうです。むしろ、胃のバリウム検査やレントゲン撮影のほうが一回あたりの損失余命が多いというから驚き。ちなみに死の四重奏と言われる肥満、脂質代謝異常、高血圧、糖尿病。これらすべて合わせると11年以上も寿命が縮まるという。

他にも、ひじきの炊き込みご飯が一食あたり30分もの損失余命であったり、某ミネラルウォーターを飲むなら水道水を飲んだほうが安全であったりもする。遺伝子組み換え食物に至っては、天然のものよりも栄養があり安全性も高い。

この通り、この本ではこれまでのイメージが覆る例がたくさん出て来る。

ただ、著者は「損失余命が多いからと言って直ちに辞めるべきでと言ってるのではなく、各々がリスクの相場観を身に着けてほしい」と主張してる事は強調しておきたい。

運転の損失余命は10キロごとに16秒。しかし運転が仕事の人はやめられないですものね。わかっていてもやめられない事のほうが多すぎます。

正直なところ、私はこの手の本が苦手なので、表紙を見ただけで「これはスルーだな」と決め込んでいました。今はネットばかりではなくオフラインでもリスクを過剰なまでに煽る人が溢れていて、生き辛さを感じはじめていたからだ。

「そんな事を言ってたら、道も歩けない、何も食べられないよ…」

そう考えてアホらしくもあり、また精神的につかれる。

でも、アゴラの書評を読んでみて、少し興味が湧いてきたので、ちょっと手にしてみた。

この本は今まであったような不安な感情を煽るものではなかった。また、信憑性についても高いようで、いわゆるトンデモ本と呼ばれるものの部類でもなかった。

語弊があるかもしれないが、それを恐れずに云えば、謂わば”正しく怖がりましょう”って所だろうか?

多くのリスクの専門家が絶賛しているこの本。専門家による専門家のための本ではなく、この私にもわかりやすい、やさしい言葉で書いているので、Kindleと言わず、是非書籍を1冊手元において家族で読んで欲しい。

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