一昔前まではタクシーといえば、クラウンのコンフォートやスーパーデラックス、セドリック等が多かったですが、最近のタクシーはいろんな車種が導入されてますね。
新しい車は嬉しいのですが、タクシーとしては不向きなものも多く、逆に古い車種で長く愛用されてきた車種でも、ドライバーにとってはストレスとなる車種もあります。今回はそんな商売道具の使い勝手のお話です。
女性は特に気にして欲しい!トランクの高さ
女性のみなさん、身長は何センチありますか?私は152.5cmと小柄です。小柄な運転手さんにはとくに気をつけていただきたいのがトランクの高さ!
身長が低いこの私が運管をしていたタクシー会社は全車Y31型セドリックでした。
この車、コラムシフトで前は運転手+2人、後ろ三人の計6人乗れる事から、ご家族連れなどには1台ですむので喜ばれていましたし、客として乗る時は乗り心地も良いので人気でした。しかし運転手泣かせな車なんです。
この写真を見てください。
赤線のところがトランクの開口部です。小柄な私の腰の高さぐらいあります。
次の写真をみてください。こちらはクラウンコンフォートです。
違いがわかりますか?
昼日勤をされる方は、インバウンド観光客を乗せる事が多いと思います。インバウンド客は大型のスーツケースを持っている事が多いのですが、重さが30kg以上ある事もざらです。その大きな荷物をトランクにしまう時の事を想像してみてください。セドリックはかなりきついんです。なんせ腰の高さまで持ち上げなければならない。
クラウン系の車両は、低い位置からひらくので重くてもなんとかなりますが、セドリックはそうもいきません。
ギックリ腰になって働けなくなった人も多いです。
1日1回ぐらいなら問題ないのでしょうが、昼日勤をしていると、1日に何度もトランクに荷物を出し入れする事もあります。荷物が多いお客様はお断りするという運転手さんも多いんですが、関空や伊丹などに行くお客さんは荷物が非常に多いです!断っていたらもったいない。それにスーツケースのみならず、車椅子等もあります。体力に自信がある男性でもかなりつらいです。なるべく楽に詰める車両を選ぶのが賢明です。
このセドリックは製造されておらず、現役で走ってる車はかな〜り古い事から設備投資ができない会社として揶揄されてますが「やめておいたほうがいい」のは、古いだけじゃないんです。こういう理由もあるからなんですよね。
フェンダーミラーはやっぱり楽チン
タクシーに乗るまではフェンダーミラーは慣れなくて怖くて仕方がなかったのですが、慣れてしまえばタクシーはフェンダーミラー以外はありえない!と思うようになりました。
フェンダーミラーは死角が少ない。助手席にお客様が乗っている時も困らない。何より、狭くて人通りが多いミナミを走り抜けるのに大変楽です。
両サイドに歩行者がいる場所を通り抜ける時、フェンダーミラーの場合はとりあえず前が通れば後は楽にすり抜けられます。
しかし、ドアミラーの場合はそうはいきません。常に左右を何度も確認しなければ歩行者にうっかりあたってしまう事があるんです。
そのため、ミナミや新地の中を走る時にドアミラーを閉じるという運転手さんも多いのです。しかし、ドアミラーを閉じるのは大変危険でもあります。
ドアミラーを閉じてしまうと、両サイド後方の確認ができません。運転席が通りすぎ死角に入ったあたりでわざとゆっくりぶつかる悪質な歩行者も多いんです。気づかずそのまま走り去ってしまうと「当て逃げ」として危険防止等措置義務違反、安全運転義務違反で免許を失ってしまう可能性があります。実際に服が当たったと被害届を出され職を失った運転手さんもいます。ですからドラミラーを閉じるのは絶対にやめましょう。
前を見ながらでも確認ができるフェンダーミラーがやっぱり楽です。
電気自動車やハイブリット車は楽だけど…
電気自動車やハイブリット車は振動も少なく、加速も早い事から運転手さんには人気です。しかし、タクシーに発進加速性能を問う必要はあるでしょうか?安全運転を第一に考えると優先度はさがるのではないでしょうか?
電気自動車やハイブリット車は振動が少なくて、体の疲れが違います。私も個人所有車がEV車だからその良さはわかるので個人的に乗るならおすすめしたいのですが、タクシーと考えると話は別です。
これらの車は音が静かすぎて歩行者が気がついてくれないのです。最近の車はわざと音を出すようにしているようですが、それでも気が付かない人も多く歩行者が退いてくれません。クラクションは鳴らさないのが基本ですから気がついてもらうようにパッシングしてみたりラジオのボリュームあげてみたりしますが、それでも気がついてもらえない事も…。自分ひとりで乗る時はよいのですが、お客様にイライラされる事もあるようです。一長一短のある車ですね。
いかがでしたか?
今回は、私が気になったポイント3つだけ紹介しました。
もっといえば、ナビの位置等もあるのですが、これは身長やシートの位置などで左右されますので割愛しました。視線移動の少ないほうが疲労度は違います。いろんな車両を乗ってみると、その違いがよくわかります。試乗させて貰えるならなるべくさせて貰うのが良いと思います。タクシー乗務員になると1日中運転をし、それが毎日続きます。小さな事でもそれが何度も続くと疲れが貯蓄されていきます。なるべく楽に仕事ができるよう、会社を選ぶ際は車両にも目を向けてみてくださいね。