インターネットでライティングを受発注する際、最低限の心構えとは?

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最近、インターネット上のクラウドソーシングを利用してライティングをしたりシステムを売り買いしたりすることが増え、どのような人でも簡単に仕事をすることができるようになりました。
発注する企業やアフィリエイターにとっても、安い価格で良いサービスを受けることができることが多く、お互いにメリットがあるシステムです。
しかし、ネット上で取引を行う場合でも当然法律は守る必要があり、お互いに最低限のモラルが必要です。
そこで今回は、実際に起こったトラブルをもとに、ネット上のクラウドソーシングを受発注する際の最低限の心構えについて、ご説明します。

肩書き詐称のトラブルと対処方法

肩書き詐称とは?

ネット上でクラウドソーシングが行われる際、ときどき肩書き詐称が行われます。
肩書き詐称とは、実際の経歴とは異なる肩書きを名乗り、相手の信用を得ることです。
ネット上でライティングなどを受発注する際、お互いに相手がどのような人なのかを正確に知ることは難しいです。ほとんどのケースで、プロフィール紹介に書いてあることをそのまま信じるしかありません。
そんなとき、受注者に「医師」「薬剤師」「看護師」「弁護士」「公認会計士」などの肩書きがあると、依頼を受けやすいことがあります。たとえば、医療系の専門記事なら医師や看護師に発注したいでしょうし、薬や薬事法の問題なら薬剤師や弁護士に発注したいでしょう。法律問題全般なら弁護士に依頼したいでしょうし、税金や経理の問題は公認会計士や税理士の資格がある人に依頼すると安心です。
そこで、仕事を多く受けるため、実際にはこのような肩書きがないのにこれらの経歴を詐称してプロフィールに書き込む人がいます。すると、そのプロフィールの内容を信じたクライアントが詐称者に記事を発注してしまい、実際には知識のない人が高額な報酬をもらって適当に記事を書く、というトラブルが起こってしまいます。

実際にあった事例

ネット上のクラウドソーシングで肩書き詐称が起こった具体的な事例をご紹介します。
あるサイトで、医療系の記事を作成してほしいと考えていたアフィリエイターが、医師免許を持つ人を探していたところ、プロフィールに「医師資格があります。内科医として5年間勤務していた実績があります。」と書かれている受注者を見つけました。
そこでこのアフィリエイターは、その内容を信用してメッセージを送り、「医師の資格をお持ちだと言うことなので、医療系のライティングをお願いできますか?」と尋ねたところ、受注者が「できます。」と答えたので、ライティングを発注しました。
ところが、できあがってきた記事が、素人目で見ても医師が書いた専門的なものではない印象だったので、発注者が受注者を問い詰めたところ、実は相手はただのフリーターであることがわかったのです。
できあがった記事をそのまま利用することもできず、お金は支払ってしまっており、発注者は大変大きな不利益を受けることになりました。

被害に遭った場合の対処方法

ライターの経歴詐称被害に遭ってしまった場合、法律的にはどのような対処をとることができるのかが問題です。
この場合には、相手に対して詐欺取消をして、契約を無効にすることができます(民法95条1項)。民法上、いったん契約をしたとしてもそれが詐欺行為によるものであった場合には、騙された方は取消ができると規定されているからです。
また、このような場合には、錯誤無効を主張することも可能です(民法96条)。相手が医師であるかどうかは契約の重要な要素なので、もし医師でないとしたら発注者は契約しなかったことが明らかです。そこで、この契約には錯誤があると言えます。
このように、詐欺取消や錯誤無効を主張した場合、契約は初めからなかったことになるので、発注者は受注者に対して代金の返還を請求することができます。もしまだ代金の支払をしていないのであれば、支払をする必要はありません。
さらに、経歴詐称は契約違反ですし不法行為にも該当するので、もし発注者に損害が発生した場合には、発注者は受注者に対して損害賠償請求をすることも可能です。
以上のように、相手の経歴詐称によって被害を受けた場合、受注者は代金支払いの必要がなくなるということを、まずは押さえておくと良いでしょう。

他人の著作物のコピー

著作権とは?

ネット上のクラウドソーシングでは、モラルのない受注者によって他人の著作物のコピーが行われることがよくあります。たとえば、他人の記事やブログの内容をコピペして、そのまま自分の書いた記事として提出するのです。このように、他人の書いたものをコピーしたり自分のものとして利用したりすると、著作権侵害になります。
著作権とは、自らの思想や感情を創作的に表現したものに対する財産的な権利のことです。つまり、自分の考えや気持ちなどを作品にしたものであると考えるとわかりやすいです。
本や音楽、演奏や絵や彫刻、ブログや記事、写真などのあらゆる種類の創作物に、著作権が認められます。
あるものに著作権が認められる場合、その制作物を勝手にコピー(複製)したり掲載したりしてはいけません。著作権者に無断で譲渡したり貸与したりすることもできませんし、改変を加えることもできません。
これらの違反行為をしたら、著作権法違反となり、著作権者から損害賠償請求や差し止め請求を受けることになってしまいます。

実際にあった事例

ネット上のクラウドソーシングで、実際にあった著作権侵害の事例をご紹介します。
発注者のアフィリエイターは、受注者が「アクセスアップマニュアル」を販売しているのを見つけました。そのマニュアルを使うとブログのアクセスが上がるということであったので、アフィリエイターは関心をもち、受注者に対し「これはオリジナルのものですね」と確認しました。もちろんそうだということだったので、アフィリエイターはこれを購入することに決めました。
ところが、購入して内容を見てみると、それは他人のブログのコピーであることがわかりました。
他人のブログのコピーなどに価値はありませんし、そもそも他人のブログのコピーをそのまま利用して万が一公開などしてしまったら、発注者の方が著作権者から損害賠償されてしまうおそれもあります。契約内容とも異なるので、アフィリエイターは受注者に対して苦情を言い、トラブルになってしまいました。

被害に遭った場合の対処方法

クラウドソーシングで受注者が著作権法違反行為を行って他人のブログなどのコピーを提出してきた場合、発注者は、契約内容とは異なることを理由に代金支払を拒絶することができますし、支払い済みの代金がある場合には、返金を求めることができます。
ただ、そのためには、契約時に「コピーは認めない」ことを明らかにしておく必要があります。当初の契約時から、「コピーは認めない」ことを明らかにしておくことにより、実際にコピーが行われたときにそれが契約違反であると言うことができるようになるからです。
また、提出を受けたコピーの記事は、決して利用してはいけません。このようなものを利用していると、発注者の側が、本来の著作権者から著作権を根拠として差し止め請求や損害賠償請求を受けてしまうおそれがあるからです。
もし、受注者が何も言わずにコピーを提出したため、発注者がそれをコピーと知らずに利用していて損害を被った場合には、発注者は受注者に対し、その損害分について賠償請求することができます。
以上のように、クラウドソーシングを利用した際に、受注者の著作権侵害行為があったら、発注者は基本的に代金を支払う必要がなく、本来の著作権者によって賠償請求されるなどの損害を受けたら、その損害分について受注者に請求することができるので、これを機会に押さえておきましょう。

まとめ

以上のように、インターネット上でクラウドソーシングを利用する場合、経歴詐称や著作権侵害(コピーなど)をすると、問題行為をした側もされた側も大きな不利益を受けることになります。
発注者の場合、トラブルが起こったらどのように対処すれば良いかを知っておく必要がありますし、受注者の側も最低限のモラルを守ることは必須です。ネット上で取引する場合、最低限度の心構えとして、くれぐれも経歴詐称や他人の権利を侵害するような問題行為はしないことが大切です。

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ABOUTこの記事をかいた人

福谷陽子(元弁護士)

京都大学在学中に司法試験に合格
その後1年ほど海外旅行などをして過ごす
司法修習を経て弁護士登録
2年半で独立開業し、個人事務所の経営をはじめる
10年間の弁護士生活の後、休業する
現在は、法律系記事を中心に、ビジネスや税務、社会制度の解説など、広くライターとして活動している