指一本を動かすとタクシーが呼べる。便利な時代になったものです。運転手側もナビ通りに向かえばお客さんを乗せる事ができ、またナビ通りに行けば目的地までお送りする事ができる。便利に感じてる人も多いようです。
でもこれらに危惧の念を抱く人も少なからずいるのではないでしょうか。私もその一人です。
若い世代の客はドライバーとの会話なんてもとめちゃいない
DiDiで注文をうけご乗車頂いた後によくあるのが「ひとこともしゃべらない客」です。
私がお粗相でもしたのか?と不安になってしまうぐらい、ずっと無言の客がやたらと増えてます。どうやらこういうお客さん、若い世代を中心に結構多いみたい。
タクシーは単なる移動手段でしかないのだ
タクシー乗務員になった時、タクシーセンターや勤務先の研修で「気配り」や「おもてなし」などの心得を嫌になるほど聞かされたのを覚えている。
意識の高い乗務員の中でもそれらに気を使ってる方は非常に多く、そういった発言もよく見聞きする。
でも、それって時代に逆行しているのでは?と最近よく思う。
といった声はネット上で散見できる。
彼らにとってはタクシーは移動手段でしかない。移動手段なんて当たり前の事をいってるが、どう説明したらよいのだろう?飛行機やバスや電車などと同じであり、もう少し便利にしただけのものである。
この単なる移動手段に「会話」や「その他の面倒くさいこと」を持ち込みたくないのは自然な流れかもしれない。
みなさんは飛行機やバスや電車のチケットを買って乗った後、パイロットや運転士と会話なんてするだろうか?
コックピットへ行って話しかけるなんてまずないし、バスなんて話しかけてはいけない。
目的地までのチケットをかい、だまって乗ってたら勝手に目的地へつくでしょ?
タクシーもそんなノリで利用する方が増えてきてる気がする。
わたし達が生き残るにはロボットになりきる事?
新しい世代の人たちが求めるのはきっと「快適な空間で目的地に移動する事」のみ。
快適な室内温度と静かなプライベート空間。”個室”であるから、仕事の電話をするのもありだし、思いっきり泣くのもよし、運転手を気にせず大声で叫ぶのもよし、化粧するのも眠るのもよし。彼氏に見送られるまで我慢してたおならだって平気でしちゃう。
運転手はただただ機械のように無感情に車を運転するだけ。ナビ通りに迎えにいき、迎車地の停車位置も10cmもずれずに完璧にこなし、ナビ通りにお送りするだけ。
体臭が発生しないようにファブリーズをがぶ飲みして、客が設定した温度が暑かろうが寒かろうがだまって前を向き、操縦する。
気まぐれに客に話しかけられたら、客の求める答えに完璧に応じ、どんな言語も流暢にあやつる。
無理にきまってる(笑)
テスラがロボットタクシー事業への参入に言及したのは知ってる?
2019年4月。米国テスラのイーロン・マスクCEOが「2020年半ばまでに完全な自動運転車を100万台以上生産する」と投資家対象の技術説明会で豪語していたようだ。配車アプリで注文をかければ勝手にタクシーがやってきて指定した目的地までつれていってくれるらしい。完全自動運転タクシーの時代はもうすぐそばまできている。
道路事情があまりよろしくない日本での実用化はかなり先になるとは思われる。
とりあえずは、自動ブレーキなどの安全面対策が施されたタクシーが当たり前になり、そのあと有人による自動運転がくるかもしれない。二種免許なんてものは必要とせず「自動運転車オペレーター免許」なんてできるかもしれない。
その頃になると我々を機械扱いする客はもっと増えているかもしれない。
私は機械になって耐える自信はない。