ルーラルエリアの足を都会の若者がコロス。

みわちんは現在、乗務員を休業し、大阪市域交通圏外のエリアで運管補助をしながら乗務員復帰準備をしてるところです。ここは同じ関西圏でありながらも大阪市域交通圏とは違う面が多々有り非常に勉強になります。一つ一つの紹介は追々する事にして、今回は怒りと悲しみと複雑な気分になった「お客様からの苦情電話」を紹介したいと思う。ただそのまんま書いちゃうと何かと問題があるので、一部変更してわかりにくくしている。それはご了承頂きたい。

終電後にきたクレーム電話

平日の深夜、終了点呼は残り一人となり、事務所を閉める作業にはいっていた時に一本の電話がかかってきた。営業時間はすぎていたため、留守電につながるのだが、うっかりと反射的に受話器をとってしまったのである。

お客様
おい!駅前にいるSって運転手、腰が悪いからスーツケースは自分でトランクに入れろってゆうとんのや!どないなってんねん!おまえんとこ!

すぐに駅前タクシー乗り場のカメラモニターをチェックすると、大きなスーツケースを横においた若者がたっていた。

miwachin
申し訳ございません。高齢の運転手でして…。無事故無違反の優良ドライバーなのですが腰だけが悪くて、重い物が持ち上げられないんです。

Sさんはとっても気の優しいドライバーさん。でも腰が弱い。あの大きなスーツケースじゃ、Sさんは持ち上げられないだろうし、ギックリ腰になでもなったら大変。ここは謝るしか無いととにかく謝りまくったのだが、この若者は折れる事がなかった。

お客様
他の車よこせ!

miwachin
申し訳ございません。営業時間がすぎていますので、他の車は帰庫しております。現在だせるのは、その車しか残っておりません

お客様
ほな、どうやって帰れゆんや!

miwachin
知るかいな…

終電後のこの地域での問題

タクシーについて詳しくない人もいると思うのでざっくりと説明させてもらいますね。
タクシーの営業区域は域内でのタクシーの需給量を調整する目的をもって法律で決まってるんです。
冒頭で大阪市域交通圏と書きましたがこれは大阪市、堺市(美原区除く)、豊中市、吹田市、守口市、八尾市、門真市、東大阪市の事。大阪の中心部ですね。

この大阪市域交通圏以外に所在するタクシー会社は大阪市域交通圏で営業をする事ができません。逆もまたしかり。

タクシーはどこでも営業が出来るわけではなく、自分の所属する会社(営業所)が所在する決められたエリア内でしか営業できないんです。

極端な話、兵庫県のタクシーが出稼ぎに大阪にきて流せないって事です。(しかし発着いずれかが営業エリア内なら可)

閑話休題、話を戻します。

勝手な想像ですが、このブログを読んでいるタクドラさんやその他お客さまのほとんどは大阪市域交通圏の方が多いと思います。大阪市域交通圏といえば、深夜でもタクシー乗り場は空車のタクシーが溢れていて供給過多の印象。こんなにタクシーいらんやろ!と思われる方も多いはずです。

しかし私が現在所属している会社の営業区域は違います。
“深夜に限り”タクシーが不足しているんです。

ええ、ここは交通の便の悪いルーラルエリア。
昼間はバスもあるのでタクシーの台数が少なくてもなんとかなります。
しかし、バスも終わり終電がすぎた後の忙しさは半端ありません。
お客様同士で相乗りの相談をされてるのは当たり前。ピストン輸送を繰り返してますが30分、1時間も乗り場で待たれている方もいます。
「タクシーまだですか?」とクレーム電話もひっきりに無しにかかってきます。
でも謝るしかありません。無いものは出せないんですもん。申し訳ありませんが仕方がない。

お客様も文句をいいつつもしっかりまってくださってます。
だってしょうがないじゃん。文句っても来ないもんはこないし、徒歩で帰るにも真っ暗な畦道を3km以上歩いたりなんて当たり前なんだから…。
タクシーが無い。日常茶飯事です。だから、どの方も「あとどれぐらいかかるの?」以上の文句は言ってきません。

だがしかし…
過剰供給気味の大阪市域交通圏で育ってる方々はそうはいきません。タクシーなんてその辺になんぼでもいてる。自分が気に入らなければ乗らなければいい。そんな感じ。

乗務員Sさんの引退

お客様
ほな、どうやって帰れゆんや!

miwachin
知るかいな…

知るかいな…なんて言っても私も人の子。見捨てたらこの人は始発まで帰れない。

miwachin
すぐ向かいますのでお待ちくださいね

走りましたとも。スーツケースをトランクに入れる為に駅前まで!事務所に鍵だけかけてジャケットもはおらずにタイトスカートの制服のまんま髪を振り乱して走りましたとも。
こんなに走ったらウエストの贅肉3cmは減ってもいいはず?ってぐらい急いで走りましたよ。

しかし、息を切らしながら駅前についた時にはもう遅かった。

気の優しいSさん。この馬鹿な若者が帰れないのを気の毒に思ったのでしょう。

道路にうずくまって唸っておりました。
いや
苦しみにもだえて奇妙な声だしてました。

スーツケース持ち上げようとして、腰いわしてたんです(T_T)  Oh, My God!

それからはもう大変。

Sさんをとりあえずタクシーに乗せて私が運転して事務所へつれて帰りとりあえずソファに寝かせ、スーツケースの客のために近隣のタクシー会社に片っ端から電話をかけまくった。わかりきってた事だが全部留守電。

仕方なしに、大阪市域交通圏を走る知り合いのドライバーに直電して「ロング客だからきて!」と無理矢理きてもらって、なんとか乗せた。
恩着せがましいですが、この客、ありがとうの一言もなかったですよ。

無事、見送った後に、事務所をしめ、Sさんを自家用車で病院へ。はぁ疲れた。お手当ついたからよかったけれど。

そのまんまSさんは引退されました。

こんな事がなければ、まだ働いていたでしょうに…入院なんてことになってしまったから(T_T)
一人の馬鹿のために、なんで弊社の貴重な乗務員が犠牲に?

お客様にいいたい

トランクサービス、これ義務じゃないんです。サービスです。
やってもらって当たり前なんて思わないでください。

考えてみてくださいよ?荷物が無いお客様と荷物があるお客様、運賃は同じなんですよ?
若い乗務員ならどうぞ使ってやってください。
でも自分のおじいちゃんみたいな年齢の方を奴隷のように使って心痛まないんですか?

ってかさ
自分の荷物ぐらい自分でなんとかしろ

荒ぶっててごめんなさいね。

高齢といえ、貴重なドライバーなんですよ。
若い元気な人たちは、みんな稼げる大阪市域交通圏へ行きます。
このあたり、稼げないんですよ。
でもね、地域の人たちの為に、みんながんばってくれてるんです。
それを、終電を寝過ごしたヨソモンがぶっ壊す。なんとも思わないんですかね。
こんな地域の足なんてどうでもいいって?

知らないいよ?もう二度と電車寝過ごさない自信あんの?あんたら。
ホテルもないんだよ?どうすんの?

都会と違ってタクシーは足りないの。これから減ることはあっても増えることなんてまずない。
もうちょっと考えようよ。